CH2次創作サイト
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静まりかえったアパートの中でツリーを探して歩くいていると、倉庫のドアが少しだけ開いているのに気が付いた。扉を開けて中に入ると、コツンという音がして、足下を見るとツリーの飾りが転がっていた。

部屋の片隅に布を掛けられた状態で置かれていたツリーは、慌てていたのか、飾りが取れて床に数個転がっていた。俺はそれを拾い上げると、ツリーの前にそのまま座り込んだ。


ふと見ると、その横にはキャッツで見かけた紙袋が無造作に置いてあった。

中をみると、可愛らしい天使やリボンなど、色とりどりのクリスマスグッズがはいっている。

・・・どんな表情(かお)して選んだんだろうな・・・?

香が選んだクリスマスグッズを、一つずつ手にとって眺めていると、一番下からクリアケースに入った小さなリースが出てきた。

それは、緑の葉に白い実が付いた物で、花束の様にクリスマスカラーの赤いリボンで束ねてあるもので。


・・・これは・・・


ケースの端には、キャッツ御用達の花屋の名前が書かれたシールが張られている。

お節介な彼女の事だ。きっと『それ』を飾る意味も話したのだろう。

意味を教えられて真っ赤になったであろう香の姿を想像すると、思わずクスリと笑みがこぼれた。



『愛するもの』と告げたはいいが、6年という歳月が築き上げてしまった「パートナー」という曖昧な関係はそう簡単には崩せなくて、今までズルズルときてしまったのだ。だが、今日の香の表情(かお)を見て、やっぱりこのままじゃいけないのだと思ったのだ。

「・・・あいつらにとっては、たかがキス・・・なんだろうけどさ・・・」

リースが入ったケースを小突きながら、ポツリと呟く。

長年の俺たちの関係を知る奴らにとっちゃあ、「たかがキスひとつ」なんだろうが・・・

「・・・されど・・・なんだよなぁ・・・」

香が相手だと、そう簡単にはいかないのだ。その辺の微妙な男ゴコロを、あいつ等はわかってんのかね・・・?

「・・・ま、乗せられてやってもいいか・・・」

ひとりごちながら暫くツリーとリースを眺めていた俺だったが、覚悟を決めると立ち上がり、リビングへとツリーと買い物袋を抱えて向かったのだった・・・




「・・・香・・・?」

居るはずの香の姿が見あたらなかった。代わりにあったのは、一枚のメモ。

ー「支払いをしたら、すぐに帰ってきます」ー

・・・そういやぁ、今回の依頼受けたときに、溜まってたツケがやっと払えるって言ってたっけ・・・。

時間はまだ6時だ。俺が倉庫にいる間に出ていったなら、そろそろ帰ってくるころか・・・?

香が帰ってきたら、今度こそ・・・



*******

撩のツケの支払いを終えてたあたしは、ゆっくりと階段を登っていた。

『誰があんな男女とキス出来るってんだ!?』

キャッツで聞いてしまった撩の一言が、心に重くのし掛かる。

「・・・バカね。いつもの事じゃない・・・」

奥多摩の一件以降、何の進展もないあたし達。お互い素直では無い上に、6年もの間「パートナー」という曖昧な綱の上で揺れ続けていた2人の関係を壊すには、何かきっかけが無いとダメだと思ったから、実は密かにクリスマスにかけていたのだ。

だから今日の買い物で、ミックがこっそり教えてくれたリースを、勇気を出して買ってみたのだ。

『有名な話だからね。撩が知らない訳ないよ?』

買う時に、美樹さんからも「香さん、それ飾る場所考えないと、ミックが飛んできて冴羽さんと撃ち合いになるわよ?」なんて言われて、ちょっと舞い上がっていたのだ。

だからなのかもしれない。いつも聞き慣れているはずの一言が、あたしの心の隙を突いて突き刺さったのだ。

逃げるように帰ってきたアパートで目に入ったツリーが、まるで醜いあたしの心を象徴しているようで。見ていられなくなって、今日買った荷物と一緒に倉庫へと隠した。



6階のドアの前に着いたあたしは、負の思考を振り落とす様に深呼吸した。パチンと頬を両手で叩き、気合いを入れる。

気持ちを切り替えドアを開けてリビングへ入ると、薄暗いリビングには隠した筈のツリーが、綺麗に飾られてライトが点いていた。

「・・・ど、どうして・・・?」

訳が分からずツリーの前で佇んでいると、後ろからふわりと目隠しされた。撩の大きくて温かい手が、あたしに目隠ししている。

「りょ、撩?」

耳許で、撩の低くて優しい声がした。

「このまま、俺の言うとおりに歩いて?」

その言葉にドキリとしながら、撩に目隠しをされたまま、誘導されて歩き出す。

階段に足をかけた瞬間、どきんと心臓が跳ねた。

この先にあるのは、撩の部屋だ。

ゆっくりと階段を登るあたし達。目隠しされていたって、撩の部屋の位置は身体が覚えていた。

階段を登りきって、数歩歩いた所で、目隠しが解かれた。目の前には撩の部屋があった。

「香、上見てみ?」

悪戯な表情を浮かべた撩に言われるまま、ドアの上を見ると、そこには件のリースが飾られていた。

「・・・・え・・・・?」

隠しておいたはずのものが、何故ここにあるのだろう?

事態が飲み込めないでいると、撩の手がそっとあたしの頬を包んだのがわかった。

「ここなら、ミックとはち合わせる事がないだろ?」

「~~///!?」

その言葉に、撩がヤドリギの意味を知っていることを確信して、恥ずかしくて思わず視線を逸らそうとした瞬間、ふわりと唇に温かくて柔らかい感触が・・・

瞳を閉じる事すら出来ずにいたあたしに、ちょっと困った顔の撩がうつる。

「ヤドリギの下にいる女性には、男性はキスしてもいいんだろ?・・・本当はずっと、おまえとこうしたかったし。・・・でも、なかなかきっかけが掴めなくてな・・・。スマン・・・」

撩からの、素直な言葉が嬉しかったあたしは、ギュッと撩に抱きついた。

「・・・あたしも、素直じゃなくてごめんなさい・・・」

お互い真っ赤な顔をみて、2人でクスリと笑うと、どちらともなくそっと唇を重ねたのだった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヤドリギの下でキスをした2人は、永遠に結ばれる・・・そんなロマンチックなお話もあるのは、有名なお話ですので、クリスマスのお話に絡めてみました。撩、がんばって挽回しました(笑)

もうすぐクリスマス本番。みなさまも、どうぞ素敵なクリスマスをお過ごしくださいm(_ _)m
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【2013/12/23 00:00】 | 中編
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