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無言で帰宅した俺たち。香は一言も発しないまま、洗濯物を取り込んだり、夕飯の支度をし始めた。

ローテーブルの上に丸めた図面を放り投げると、俺は重く怠い身体をソファへと沈めながら、煙草に火をつけた。


「海坊主のやつ・・・。何も、香じゃなくてもいいじゃないか・・・」


放り投げた図面を横目に、ぼやく。それと同時に、香の他に誰がいるんだ?という思いも沸き上がってくる。

図面からして、相当厄介な建物だ。ということは、それなりのトラップが扱えなければ仕事にならないという事である。海坊主が中に入れない以上、ヤツが一番弟子だと公言している香が適任なのだろう。・・・実際、仕事のことになると、俺よりヤツの方がシビアな面を持ち合わせている。ましてや、今回は美樹ちゃんの命も掛かっているのだ。中途半端な人選は出来ないだろう。


キャッツで言われた美樹ちゃんの言葉が耳に残っている。


ー自分では何一つ教えないで、向き合おうともしないで!!この3ヶ月、彼女がどんな思いで訓練してきたかわかる!?どれだけの努力をしてきたか!?あなたの側に居たいからよ!?パートナーとして役に立ちたいからよ!?ー

立ち上る紫煙を見つめながら、その言葉の意味を考える。

・・・トラップの訓練で出来たであろう、小さな傷。格闘技を学ぶ中で出来た痣。そして、手に出来たガンタコ。それらすべてから、俺は目を背けていた。・・・香の実力を知ってしまったら、本当の意味で、香を裏の世界に引き込んでしまう気がして怖かったのだ。だが、これからも香とパートナーとしてやっていく以上、このままではいけないのだ。

俺は覚悟を決めると、夕飯の支度をしているであろう香の元へと足を向けた。




気配を消し、料理をしている香の背後に近づいていく。キッチンの入り口に立ち、懐に手を差し入れパイソンを取り出そうとした、その時だった。


「撩?何かあったの?」


香が俺のほうへ振り向いたのだ。

・・・気配は消していたはずだ・・・なぜ・・・?

呆然としている俺の元に、心配そうな顔をした香が慌ててやってきた。

「・・・なんで、何かあったと思ったんだ・・・?」

絞りだすように香に問うた。

「え・・・。あ、あぁ。だって、殺気を感じたから・・・。それに、撩の気配・・・っていうか、匂いもしたし・・・。家の中で撩の殺気を感じるなんて、よっぽどの事でしょ?・・・ところで、何かあったの?」

訳が分からない。といった様子で俺を見上げる香。

・・・香を試そうとした俺の僅かな殺気に反応したのか・・・。

そう、俺は香の実力を見極めようと、香に銃を向けようとしていたのだった。だが、その時に発した僅かな殺気に香は気がついた。俺は、自分の認識の甘さにため息をついた。この抜き打ちテストを不合格に終わらせ、香に今回の依頼を断らせるつもりだったのに・・・。完敗だ。

俺は、クシャリと香の髪を撫でると、とぼけた口調で誤魔化す。

「いんや。大丈夫だ。香ちゃんがちゃんと料理してるか気になって覗きにきただけ。・・・飯、まだ~?俺、腹減ったんだけど?」

「もうちょっとで出来るから。手洗って待ってて!」

そう言って再びキッチンへと向かう香の後ろ姿に一抹の寂しさを感じつつ、俺はその場を後にした・・・。



夕飯が済み、いつもの様にソファに寝ころんで雑誌を眺めて居ると、香がコーヒーを入れてリビングへ持って来た。

「撩?コーヒー置いとくわよ?」

そう言って、コーヒーを置いていこうとする香の手を、俺は無言で掴んだ。

「りょ、撩?」

動揺する香を引き寄せ、目の前にあるローテーブルに置かれた図面を広げる。そして、香の顔をしっかりと見て言った。

「この依頼、どうするつもりだ?」

途端、香の視線が俺から外れ、中をさ迷う。

「・・・あ、あたしには、無理よ・・・。だって、なにかあった時に、自分の身も守れないのよ・・・?2人に迷惑かけるだけよ・・・」

自身なさげな表情と言葉。それをさせているのが自分なのかと思うと、腹立たしくなる。

「・・・香。銃持って下に来い。おまえがどの程度上達したのか見てやるから。・・・それから、この依頼どうするか決めろ。」

そう言って俺は香の手を離すと、射撃場へと先に降りて行った・・・。



射撃場で的をボンヤリと見つめながら、ミックが香にコーチをしていた事を思いだしていた。あの短い間で、香はそれなりの成果をあげている。ならば、今の香ならーー?

期待と不安に揺れ動いている自分に、苦笑いする。・・・覚悟を決めたんじゃなかったのか?俺は・・・


ギィッと鈍い音を立てて射撃場のドアを開き、香が姿を表した。手には、ローマンが握られている。

「・・・あ・・・りょ、撩・・・。」

戸惑う香の背を軽く押し、ブースの前に立たせる。覚悟を決めたのか、香が銃を構え、的に銃口をむけた。

「・・・よし。んじゃ、まずは6発撃ってみろ。」

香の後ろに立ち、フォームをチェックする。構えは問題ない。

パァーン、パァーン・・・6発の銃声が響き渡る。

撃ち方も問題なし。ぶれもなく、ほぼ的の中心に全弾当たっていた。

「・・・やるじゃん。安定した状態なら、問題はないレベルだな。・・・美樹ちゃんには、動きながらの撃ち方とかは習ったのか?」

「・・・少し。空砲とか、ペイント弾とか使って・・・。美樹さんに的になってもらって・・・。でも、まだ安定してないから、中々思う様に当たらなくて・・・」

シュンとして俯いてしまった香に近づくと、ブースに置かれたローマンを取り弾を装填する。

「じゃ、今度はそれで俺を撃ってみろよ。どれくらいなのか、見てやっから。あ、中の弾はペイント弾だから安心しな。・・・ま、俺に当てられたら・・・の話だけどなぁ~」

軽い口調でそう言って、香を挑発する。だが、香が感情的になることはなかった。逃げ回る俺を追いかける様に銃口を向け、冷静に引き金を引いていく。驚く事にそれは次第に、俺の動きの先を読むものになってきたことだった。

パァーン・・・

6発全弾撃ち尽くした香。最後の1発は見事に俺のジャケットを掠めていた。

はぁっ・・・と、緊張から解放された香が、よろけて壁に寄りかかった。

「・・・は、早い・・・。追いつかない・・・」

そのまま、ズルズルと座り込んでしまった香の元に歩み寄ると、手を差し伸べる。おずおずと重ねられた手を引っ張りあげると、そのまま香を抱きしめた。

「ちょっ・・・りょっ、撩!?」

腕の中の香が、焦って俺を見上げる。汗と硝煙の匂いがする額にそっと口づけを落とすと、覚悟を決めテストの結果を伝えた。

「香。この3ヶ月頑張ったな。・・・さすが、俺のパートナーだ。・・・今度の依頼、受けろよ・・・。今のお前には、その資格が十分ある。」

俺の言葉に、香はびっくりした表情で固まっていた。

・・・無理もないか・・・

苦笑いしながら、言い聞かせるように同じ言葉を繰り返す。

「合格だって言ってんの。・・・まだまだな所も沢山あるが、それは追々覚えていけばいい。トラップに関しては、俺よりタコの方が専門だしな。そのタコがお前を指名してきてんだ。自信持って、依頼受けろよ。・・・もちろん、俺も一緒だ。・・・2人でシティーハンターだもんな・・・」

腕の中の香が、ギュウッと俺に抱きついてきた。泣いているのだろう、ジワリと俺の胸元が濡れてきた。

「・・・ありがと・・・りょう・・・。嬉しい・・・。あたし、頑張るから。だから、これからもよろしくね・・・」

「・・・あぁ、これからは美樹ちゃんだけじゃなくて、俺もお前の事鍛えてやるから覚悟しとけよ?」

そう言って香の顔を覗きこんだ。泣いているけど、本当に嬉しそうな香の顔がそこにはあった。その笑顔を見て、自分の選択が間違ってなかった事を確信した。


ー翌日、俺たち2人は、シティーハンターとして正式に依頼を受けることを、海坊主と美樹ちゃんに伝えに行ったのだった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
撩の決意表明・・・と言った所でしょうか?カオリン、よかったねぇ~(涙)次回は、カオリン頑張りまっす!!
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【2013/10/27 00:00】 | To the destination ~しの様リクエスト~
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