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目の前の光景が受け入れられない。

弾は入っていないはず。照準も、別れる時に狂わせておいた。だから、安全なはずーーー。

そう判断する俺に、もう一人の俺が警告している。



久しぶりに見た香は、穏やかなーー悲しいほど綺麗な微笑みを浮かべていた。

「・・・香・・・?お前、なに、やって・・・?」

やっとの思いで絞り出した声は、少し掠れていた。

何故、自分にそんな物を向けている・・・?



ジャリッ・・・。

一歩、香へと足を向けた。

「・・・来ないで・・・」

銃口をピタリと自分の心臓へと当て、引き金に指を掛ける香。

その表情を、俺は何度も見てきた。ーーー死を覚悟した人間の顔だーーー

ドクドクと、心臓が暴れ出す。背中を冷や汗が伝う。

まさか・・・?まさか・・・?!


「・・・弾、ないんだろ・・・?・・・ヤツはもういない。・・・だから、そんなことしてないで、帰ろう・・・?」


想像してしまった、最悪のシナリオが浮かぶ。ーもし、もしも、弾が装填されていたらーーー?

照準を狂わせているとはいえ、至近距離なら外す事はない。



まるで、時間が止まってしまったかのように張りつめた空気。

その均衡を破ったのは、香だった。


ふっ・・・と、俯き呟く。

「・・・帰る・・・?・・・あたしには・・・もう、帰る場所なんて、ないのよ・・・?・・・どこにいても、なにをしていても、結局あたしは、あなたの・・・撩の足手まといにしかならない・・・。・・・あたしがいるかぎり、同じ事が起きる・・・。だから、こうするのが一番いいのよ・・・」

その言葉で、確信してしまった。ーーー弾が装填されているーーー

香と真っ正面から向き合う形でいる今、俺の腕をもってしても香を傷つけずに銃だけ弾き落とすなんて芸当はできない。

(どうすれば・・・どうすればいいんだ!?)

逡巡する俺の視界に、美樹ちゃんがうつった。

「美樹ちゃん!!」

彼女のいる位置からなら、香の銃を弾き落とすことができる。

一縷の望みをかけ、美樹へと声をかけるが、彼女は香の姿を見ても、動かなかった。

(なぜ?!)

戸惑う俺の視線に、美樹ちゃんが答えた。

「・・・ごめんなさい、冴羽さん・・・。これが、香さんからの依頼なのよ・・・。『もしも、自分が捕まるような事があっても、決して助けないで。あたし自身でケリをつけたいの』と・・・。・・・弾も、一発だけ、渡したわ・・・」

今にも泣き出しそうな顔の美樹に、香が声をかけた。

「・・・ありがとう、美樹さん。・・・これで、いいのよ・・・。これで・・・」



すっと、香の視線が俺に向けられる。控えめな、微笑みとともに。

「・・・ごめんね・・・撩・・・。・・・今まで、ありがとう。・・・どうか・・・どうか、自由に・・・。幸せになって・・・!」

閉じられる瞳。引き金に掛けた指に力が入るのがわかった。



自分の身体なのに、指一本動かすことができない。

やっとの思いで自由になったのは、声だけだった。

「やめろっっ!!俺はっ、俺はお前を失いたくないっ!!」

パァーンッ・・・

俺の叫び声と重なる様に、一発の銃声が鳴り響いたーーー






それは、一瞬のことだった。

美樹の後ろから現れたミックが、香の銃身にダーツを当てたのだ。

ダーツに弾かれた銃身は跳ね上がり、銃弾は香の左肩を掠めただけで済んだ。

その光景は、実際にはコンマ数秒の出来事だったのだが、そのときの俺には酷く長い時間に感じた。


「撩!!」


ミックの一声で、ハッと我にかえる。

弾かれたように身体が動き、香との間合いを一気に詰めた。

背を向けて逃げようとする香に当て身を食らわせる。

意識を手放した香の身体が、ふわりと俺の腕の収まった。

別れを告げた時よりも、細くなってしまった身体をギュッと抱きしめる。


ーー生きているーーー


腕の中の香から、規則正しい呼吸音と鼓動を感じ、ホッと息を付く。

香を抱き上げたところで、ミックと美樹ちゃんが降りてきた。

「香は無事か!?」

腕の中の香をのぞき込むようにしてミックが確認してきた。

「・・・弾は掠っただけだ。なんともない。・・・すまない、ミック・・・。それに、美樹ちゃんも・・・」

ダーツを放ったミックの思いも、香からの依頼を受けた美樹の気持ちも、痛いほどわかっていた。

頭を下げた俺の肩に、ミックの手が置かれる。

「・・・今は、香を安全なところに移すのが先だ・・・」

その言葉に促されるようにその場を後にした俺たちは、海坊主の運転するジープで教授宅へと向かった・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
無事に救出された香ですが、その心は救われるのでしょうか・・・?

次回更新は、7/2の予定です。・・・次回、最終話になる・・・?(一話で収まるか、まだ未定です・・・スミマセンm(_ _)m)

もう少しだけ、おつきあい下さい。よろしくお願いします。
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【2013/06/30 21:00】 | One only wish
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