香が教授宅で療養している間に、俺は色々と動き回った。
香がこれから暮らしていく部屋を探したり、絵梨子さんに香の事を頼んだり。
(もちろん、パートナーを解消するなんて事は言ってない。あくまで、リハビリ期間中預かってほしい。と頼んだ)
住む部屋は、良い物件が見つかった。絵里子さんの自宅からも近く、管理人が桜田門上がりで、セキュリティーがしっかりしており、日当たりも申し分なかった。
これなら安心して暮らせるだろう。
俺は、向かいに住むミックが取材で出かけているのを確認すると、香の部屋の荷物を新居へと移した。
空っぽになった客間。もう、ここに香が戻ってくることはない。
一抹の寂しさが俺を襲ったが、香の幸せと安全のためだと自分に言い聞かせるとパタンと客間のドアを閉めた・・・
「お世話になりました。」
教授とかずえに頭をさげる香。その顔はとても嬉しそうだ。
「無理しちゃだめよ?香さん。程々にね?冴羽さん、香さんに無理させちゃだめよ?」
「はいはい。わっかりましたよぉ~っだ!」
逃げるように香をクーパーに押し込めると、教授宅をあとにする。
「ねぇ、あたしがいない間に部屋散らかしてないでしょうね?きっとすごいことになってるんだろうなぁ~。」
助手席の香は、アパートに着いたらすることを色々考えているようだった。
こんな時間も、もう最後か・・・。
一人でしゃべる香の話に耳を傾けながら、車は香の新居へと向かって行った・・・
マンションの前で車を止める。
「撩?どうしたの?」
怪訝な顔の香を助手席から引っ張り出し、部屋へと向かう。
カチャリと鍵を開け、玄関へ香を押しやる。
「ちょっ・・・ちょっと!なんなのよっ?!」
抵抗する香を無言で部屋のなかへ連れて行った。
そこには香が使っていた家具が配置されており、それをみた香の足が止まる。
「・・・どういう・・・こと・・・?」
真っ青な顔で、震える声で聞いてくる香。
「・・・パートナーは解消だ。これからは、ここがお前の暮らす家だ。もう、アパートには近づくな。」
感情を押し殺した声で香に告げる。
「なんでっ?・・・あたしが撃たれたから?」
キリキリと胸が締め付けられる。今にも泣きそうな香の顔を見れなくて、視線を外す。
「・・・足手まといなんだよ・・・。お前のお守りは卒業したいんだよ。」
心のにもないことを言葉にする俺。香の顔が酷く歪んだ。
「・・・ごめん、なさい・・・。いつも、撩に迷惑ばっかりかけて・・・。」
謝罪の言葉を口にする香の言葉を遮るように、香の手を取り印鑑と通帳を握らせる。
「これは今までの給料だ。好きに使え。仕事は絵里子さんに雇ってもらえるように頼んである。」
大きく見開かれた香の瞳。今にもこぼれ落ちそうな涙。そんな香から顔を背けた俺。
「・・・鍵、返せよ。」
冷たい口調。少しの沈黙の後、カチャリという音と金属の冷たい感触を、差し出した手のひらに感じた。
「元気でな・・・」
香から受け取った鍵を握りしめると俺は、逃げるようにマンションを後にした・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
別離を選んだ撩ですが、果たして正しい選択だったのでしょうか・・・?
次回、6/20アップ予定です。
香がこれから暮らしていく部屋を探したり、絵梨子さんに香の事を頼んだり。
(もちろん、パートナーを解消するなんて事は言ってない。あくまで、リハビリ期間中預かってほしい。と頼んだ)
住む部屋は、良い物件が見つかった。絵里子さんの自宅からも近く、管理人が桜田門上がりで、セキュリティーがしっかりしており、日当たりも申し分なかった。
これなら安心して暮らせるだろう。
俺は、向かいに住むミックが取材で出かけているのを確認すると、香の部屋の荷物を新居へと移した。
空っぽになった客間。もう、ここに香が戻ってくることはない。
一抹の寂しさが俺を襲ったが、香の幸せと安全のためだと自分に言い聞かせるとパタンと客間のドアを閉めた・・・
「お世話になりました。」
教授とかずえに頭をさげる香。その顔はとても嬉しそうだ。
「無理しちゃだめよ?香さん。程々にね?冴羽さん、香さんに無理させちゃだめよ?」
「はいはい。わっかりましたよぉ~っだ!」
逃げるように香をクーパーに押し込めると、教授宅をあとにする。
「ねぇ、あたしがいない間に部屋散らかしてないでしょうね?きっとすごいことになってるんだろうなぁ~。」
助手席の香は、アパートに着いたらすることを色々考えているようだった。
こんな時間も、もう最後か・・・。
一人でしゃべる香の話に耳を傾けながら、車は香の新居へと向かって行った・・・
マンションの前で車を止める。
「撩?どうしたの?」
怪訝な顔の香を助手席から引っ張り出し、部屋へと向かう。
カチャリと鍵を開け、玄関へ香を押しやる。
「ちょっ・・・ちょっと!なんなのよっ?!」
抵抗する香を無言で部屋のなかへ連れて行った。
そこには香が使っていた家具が配置されており、それをみた香の足が止まる。
「・・・どういう・・・こと・・・?」
真っ青な顔で、震える声で聞いてくる香。
「・・・パートナーは解消だ。これからは、ここがお前の暮らす家だ。もう、アパートには近づくな。」
感情を押し殺した声で香に告げる。
「なんでっ?・・・あたしが撃たれたから?」
キリキリと胸が締め付けられる。今にも泣きそうな香の顔を見れなくて、視線を外す。
「・・・足手まといなんだよ・・・。お前のお守りは卒業したいんだよ。」
心のにもないことを言葉にする俺。香の顔が酷く歪んだ。
「・・・ごめん、なさい・・・。いつも、撩に迷惑ばっかりかけて・・・。」
謝罪の言葉を口にする香の言葉を遮るように、香の手を取り印鑑と通帳を握らせる。
「これは今までの給料だ。好きに使え。仕事は絵里子さんに雇ってもらえるように頼んである。」
大きく見開かれた香の瞳。今にもこぼれ落ちそうな涙。そんな香から顔を背けた俺。
「・・・鍵、返せよ。」
冷たい口調。少しの沈黙の後、カチャリという音と金属の冷たい感触を、差し出した手のひらに感じた。
「元気でな・・・」
香から受け取った鍵を握りしめると俺は、逃げるようにマンションを後にした・・・・・・・
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別離を選んだ撩ですが、果たして正しい選択だったのでしょうか・・・?
次回、6/20アップ予定です。
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