CH2次創作サイト
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いつものごとく朝帰りだった俺が起床したのは昼近く。

寝ぼけた頭をすっきりさせたくてガシガシと頭を掻きつつ、リビングにいるであろう香に声をかける。

「かおりぃ~コーヒー・・・」

いつもなら、文句のひとつは出てくるであろう状況だが、今日は返事すらない。

(やべぇ・・・ツケ溜まってんのバレたか?)

一瞬固まる撩。回れ右しようとした時に、リビングにいる香の姿がチラリと視界に入った。

(あ?何やってんだあいつ)

そっとリビングのドアを開けて中の様子を探る。

香は真剣な表情で新聞紙でなにやら作っていた。

気配を消してそっと香に近づく。

「なぁにやってんの~?香ちゃん」

「ひっ!」

びっくりした顔で香が振り向く。

「あ・・・撩、おっおはよっ!今ご飯の支度するからシャワーでも浴びてきたら?」

さりげなく持っていた新聞紙を隠しつつキッチンへと消えた香。

「なんだかねぇ・・・」

隠し事をされたようでちょっと気に入らなかったが、ここで逆らうと飯ヌキの刑が待っているのであえて突っ込まないでいた。

朝食兼昼食を食べ終えた俺は、いつものごとく街へナンパに出かけたが、朝の件が引っかかっており気分が今ひとつ乗らなかったため、早々に切り上げてアパートへと戻った。




「たっだいまぁ~♪」

リビングのドアを開けると、キッチンから香の鼻歌が聞こえてきた。

(えらいご機嫌だね・・・依頼でもあったか?)

キッチンをのぞくと、ガス台の上には蒸し器が乗っており美味しそうな湯気がでている。

「あ、帰って来たんだ撩。もうすぐご飯出来るから先にお風呂入ってきて♪」

料理の手を止め振り返ると、にっこり笑って香が言った。

(なんだかなぁ・・・)

朝からの香の態度に、腑に落ちない俺だったが、言われるがままバスルームへと向かう。

身体を洗い、風呂に入ろうと蓋を開けたところで手が止まった。

「な?なんで葉っぱが入ってんだ?」

風呂の中には細長い葉が入っている。

まるで鍋の中の野菜の様。風呂が鍋で、この葉っぱがネギかニラで、俺は肉か?

(香のヤツ、まさか俺を料理して喰うつもりじゃないだろうな・・・)

一瞬物騒なことが頭をよぎるが、逆らうのは得策ではないと判断し、おとなしく風呂に入った。



「あがったぞ~!・・・香、おまえ風呂に葉っぱなんか入れて、俺を料理するつもりかぁ~?」

俺の一言に一瞬キョトンとする香。

「へ?あんたを料理したって美味しくもないわよ。・・・あ、もしかして菖蒲のこと?」

「しょうぶ?」

名前は聞いたことはあるが、なんでそんなもんを風呂にいれたのかわからず、眉間に皺を寄せちょっと考える。

「そっ。菖蒲湯ってね、厄払いの意味があるんだって。あの葉っぱで鉢巻き作って『健康で頭が良くなりますように』ってお願いしてもいいんだよ」

ふふっと笑いながら出来た料理をテーブルの上に並べていく香。

テーブルの上には粽が山の様に置いてあった。

「さっ食べましょっ!」

いつもよりちょっと豪華な夕食。優しい香。ますます腑に落ちない俺。

(まさか、オトコの依頼でも受けてきたんじゃないだろうな・・・いや、そんな情報はなかったはずだ)

叩けば埃がいくらでも出てくる己の所業を振り返り、ドキドキしながら夕飯を終えた。




リビングでくつろいでいると、お盆になにやら乗せた香がやってきた。

「はい、食後のデザート♪」

お盆の上にはコーヒーではなくお茶。その横には柏餅。

(・・・そういや、今日はこどもの日か)

ここまできてやっと香の行動の意味がわかった。

「・・・これはまた、甘そうなものを・・・」

渋い顔をする俺。

「・・・一個でイイから食べてよ?」

上目遣いで俺をみる香。

(でたなっ!必殺攻撃っ)

「・・・わぁ~ったよっ!一個だけだぞっ!」

そういってパクリと柏餅を食べた俺を見て、嬉しそうな顔をする香。

「あっそうだ。撩、ちょっとだけ目瞑ってて♪」

またもや必殺上目遣いでお願いしてくる香に負けたおれは、言われた通りに目を瞑った。

香がゴソゴソと何かを取り出している音と新聞紙の臭いがしたと思ったら、何かが頭に乗っけられたのが分かった。

「目、開けていいよ」

香の許可が下りたところで目をあけると、目の前には鏡があり、頭に新聞紙で出来た兜を被った俺がうつっていた。

「ふふっ。似合う似合う♪」

イタズラが成功した時のような嬉しそうな香。

(ったく。なぁんでイイオトナのオトコがこんなもん被らなきゃいけないんだかねぇ・・・)

心の中で苦笑いする俺。

「昔、兄貴がよく作ってくれたの思い出して作ってみたの。撩って、身体は大きいけど手の掛かる子供みたいだからいいかなぁって思って」

にっこり笑う香。

やられっぱなしの俺。なんだか悔しくなって仕返しをしたくなった。

ギュッと香を抱きしめ、耳元で囁く。

「柏の葉っぱって、『子孫繁栄』って意味あるの知ってた?それを俺に勧めたってコトは、香ちゃんからのお誘いってコトだよねぇ~?カオリンやるねぇ~」

腕の中の香が慌てだすが、知らんぷりをして担ぎあげる。

「ばっ、馬鹿っっ!誰もそんなこと考えてなぁ~いっ!そんな不純な考えしとるのはアンタくらいよっ」

「まぁまぁ、そんなに照れなくっても♪いざ、子孫繁栄のために撩ちゃんのお部屋へLet's go♪」

「い~やぁ~っ。は~な~せ~」


・・・結局、明け方まで撩に付き合わされた香は、来年の柏餅は一人で食べようと心に誓ったのであった・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
子供の日なのに、最後が子供の日らしくなくなってしまった・・・(;^_^A

撩の生い立ちを考えると、子供の日の風習って縁がなかったんじゃないかなぁ~と。厄除けの意味を込めたカオリンの優しさ、届いたんでしょうか・・・?
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【2013/05/05 00:00】 | 短編
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