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静まりかえった廊下に取り残された俺たち。

香はまだ片方のヒールを手に持ったままで、唇を噛みしめて俯いている。

そんな香の姿をみているうちに、シンデレラの話しを思い出した。

舞踏会から慌てて帰る途中、ガラスの靴を片方落としてしまったシンデレラ。一方、目の前のお嬢さんは、勇ましくもその靴を武器に悪党一人をやっつけてしまったのだ。


「・・・まぁ、こっちのシンデレラのほうが、俺にはお似合いか・・・」


ふと呟いた一言で、香が顔を上げた。

「・・・え・・・?」

視線が絡み合う。

ドレスアップした妖艶な姿とはかけ離れた、幼子のような表情(かお)をした香をみて、何だか肩の力が抜けたのがわかった。


踵を返し、ミックがドアの前に置いていった靴を拾い上げると、香の前に跪いて靴を差し出す。

「シンデレラ、靴をどうぞ。」

「・・・ぁ・・・」

慣れないシチュエーションのせいのか、真っ赤になった香の顔。

思わず、プッと吹き出す。

「ほれ、そっちの靴も寄越せよ。いつまで裸足でいる気だ?」

いつもの俺の口調に、香も肩の力が抜けたのか、おずおずと靴を差し出してきた。

それを受け取り、香の前に並べてやると、香はドレスの裾をつまみ上げると靴を履く。

立ち上がって香の前に立つと、さっきミックが香に胸元に差し込んだカードが目に止まったので、無言でそれを引き抜いた。

「なっ・・・なにすんのよっっ!!」

触れてはいないとはいえ、急に胸元に手をやられた香が真っ赤になって抗議の声をあげる。

「なに騒いでんだよ。さっきミックからもらったの取っただけだろ?」

そう言ってピラリとそのカードを香に見せる。それはこのホテルのスイートルームのカードキーだった。

「え?なにそれ?」

事態が飲み込めない香に苦笑し、説明してやろうと口を開きかけたが、警察官らしき男女の声が聞こえて来たため、逃げるのが先か。と判断する。

「香、説明は後だ。冴子たちが来るから、取りあえず逃げるぞ。」

そう言うと、香をお姫様だっこしてその場を後にした。


着いた先は、もちろんさっき香にみせたカードキーの部屋だ。ソファ等がある部屋に入った所で香を下ろす。

「なっ・・・なに!?なんでこんな所に逃げてんのよっ!?」

俺に抱き上げられてから一言も発しなかった香が、ようやく我に返ったのか騒ぎ出した。

「こういうときには、むやみに外に出ない方が安全なんだよ。それに、せっかく部屋取ってもらったのに、そのまま帰るってのもどうかと思うぞ?」

途端、ピタリと香の動きが止まった。不審に思い、香に近づいて肩に手をかけようとしたが、その手は思い切り振り払われた。

「・・・か、かおり・・・?」

「・・・ないでっ!・・・触んないでっ!!」

驚いて香をみると、その瞳には今にもこぼれ落ちそうなほどの涙があった。

思わず息を飲む。冴子と自分のどちらかを選べと迫ってきた時の香の顔が、目の前にあったのだ。


考えるより先に、身体が動いていた。無意識のうちに香の身体を抱きしめていた俺。もう、あの時と同じ過ちは繰り返したくなかった。

「やっ・・・やだっ!!離してっ!!離してよっ!」

抗議の声をあげ、身を捩る香を逃さない様にさらに深く抱きしめる。言葉にしなければ伝わらないとわかってはいたが、今はただ、抱きしめていたかったのだ。


どのくらいそうしていたのだろうか。香が抗う事を止め、ポツリと呟いた。


「・・・あたしは、冴子さんじゃない。」


その言葉に、思わず腕を緩めてしまった俺。

俯き、俺の胸を押し返すように離れて行こうとする香。

その姿を、言葉を聞いた俺は、今度こそ香と向き合う覚悟を決めたのだった・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヘタレ撩、挽回出きるのか!?(してもらわないと困るんですが・・・)

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【2014/07/14 00:15】 | リクエスト
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