CH2次創作サイト
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あの一件から数日がたち、俺たちの仲は自然と周囲の奴らに知れ渡る事となった。

・・・まぁ、こんだけ俺の態度が変わりゃぁ、誰でも気づくか・・・

ベランダで、コーヒー片手に煙草をふかしながら、ぼんやりと空を見上げる。


あの夜、アパートに帰ってきた俺たちは、6年という焦れったい歳月をようやく乗り越え、正真正銘のパートナーになった。

自分の腕の中で、香が穏やかな寝息をたてて眠っているのをみて、嬉しくて眠れなかったのを思い出す。

あれからはもう、寝ても覚めても、香、かおり、カオリ、である。

家でも外でも、隙あらば絡んで、ちょっかいを出して、ハンマーを落とされる・・・ということを繰り返している。

日課となっていたナンパなんて、する暇もないくらいだ。



「りょおっ!!そんなに引っ付かれたら、掃除ができないでしょっ!!」

ついさっきも、階段の手すりを雑巾掛けしている香の魅惑的なヒップに手を伸ばして(ミニスカートなんぞ履いている香が悪い!!)ピシャリと、その手をひっぱたかれたばかりである。

「ふ~んだ。撩ちゃん、悪くないもんねぇ~」

俺としては、家事なんて放っぽって、24時間カオリンとイチャイチャしてたいのに。あんなことがあった2人にとって、今は蜜月・・・と思うのは、自分だけなのだろうか?

「忙しいから」という一言で、完全放置されて、ベランダでふてくされていると、屋上へと上がる香の足音が聞こえてきた。どうやら、往復しているようだ。



・・・そういや、あれから洗濯物の量、増えたからなぁ(にやり)

俺のベッドで2人仲良く眠るのが当たり前となっているため、毎日シーツ等を洗うハメになっているのである。

しかも、寝るのが夜中・・・というか、空が白み始める頃・・・だったりして・・・(笑)

さすがの香もキツくなってきたのか、昨夜はついに「一人で寝る!!」宣言をされてしまい、客間へと逃げ込まれてしまったくらいなのだ。

(もちろん、数々のトラップをくぐり抜け、夜這いに成功したのは言うまでもぬわぁい!少々傷を負ったが、なんのこれしき!)

だが、夜中に発動させたトラップの数々の騒音のせいで、隣近所から苦情の嵐が来たのは事実で。向かいの悪友からは、朝一で電話があったくらいだ。

「撩!おまえ、ついにケダモノと化したのか!?あぁ、可哀想なカオリ。今、僕が助けに行くからね!!」

(もちろんパイソンを突きつけ、丁重にお断りしたが)


パタパタと響くスリッパの音を聞きながら、ちょっと考える。

・・・まぁ、その、なんだ。家事の負担を増やしているのは、半分は俺のせいでもあるわけで・・・。

ガシガシと頭を掻くと、「しょうがねぇな」と呟き、屋上へと上がっていく。

洗濯物を干すスイーパーなんて、格好悪い・・・なんて言ってられん。なにせ、今夜のお楽しみがかかっているのだから。


屋上へと辿り着くと、香は丁度大判のシーツと格闘しているところだった。

「・・・貸せよ。手伝ってやる。」

「・・・あんたがそんなこと言うなんて、雨か霰でも降るんじゃないの?・・・やめてよね。唯でさえ量が多くて乾かないんだから。」

ガックリ(x_x;)・・・日頃の行いが物を言う・・・ってか?

「ん~?ほら、洗濯物の量増やしてんの、半分は俺の責任だしぃ?それに、カオリンに倒れられても困るし♪」

ボボボッと赤くなる香。

「~~~っ!だ、だっだら、少しは自重しなさいよ!!このままじゃ、あたし過労で倒れるわよっ!!」

「だ、か、ら、手伝うって言ってんの。・・・買い物もつきあうから、これ干し終わったら、ちょっとだけお昼寝タイムな?」

香の手から、洗濯物を奪い取るとサッサッと干し終え、クルリと香と向き合う。ヒッ・・・と逃げ腰の香をかつぎあげると、意気揚々とリビングへと降りていく。


「やっ・・・やだやだ!!あんたと一緒になんて、恐ろしくて昼寝なんて出来ないわよっっ!!」

リビングのソファに香を抱き抱えたまま、ゴロリと横になったはいいが、このところの所業のせいか、香がジタバタと暴れて逃げようとしている。

「・・・今は、本当に昼寝だけ。ただ、お前とくっついて寝てたいだけなの。・・・たまには、いいだろ?」

チラリと上目遣いで俺を見やる香に、苦笑いする。

「ほんと~に、何にもしないから。」

やっと信じてもらえたのか、ふぅっと香の身体から力が抜け、俺にすり寄ってきた。

「・・・おやすみ・・・」

リビングには暖かい日差しが差し込み、眠気を誘う。

こんなに穏やかな時間を与えてくれる香に感謝しながら、すうすうと寝息をたてている香の額にキスを一つ落とすと、俺も瞼を閉じたのだった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
若干(かなり?)撩ちゃんが壊れております。・・・まぁ、我慢していた反動ですかね・・・?ナンパもせず、カオリン一直線な撩が、何となくかわいいなぁ・・・と思って書いてみました。・・・で、私的には、仲良くお昼寝している姿を、ミックがお向かいから激写してそうな気がします(笑)
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【2013/10/14 22:30】 | How much is that time?
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さき
初めてコメントさせて頂きます~!!
つい先日お邪魔させていただき、一気に読ませて頂きました!!

どのお話も凄く素敵で(>_<)!!
私は、とてーも胸がキュン♡とすると、手先が痺れる癖?があるんですが、こちらの小説を読むと、もう指先が痛いほどジンジンして、胸キュンしっぱなしなんです!!!!

これは報告しなくては!!
と思い、コメントさせて頂きました<(_ _)>
「How much is that time?」はもう切なすぎて!!
こういうの大好きです!!!!

香ちゃんやリョウの口調?も、原作にとても忠実でいらして、本当に原作の続きを読んでいるような、幸せな気持ちになれました。
すっかりこちらのファンになってしまいました(^v^)
これからも、更新楽しみにしております。
微力ながら応援しています~!!

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腕の中には、長年の想いをやっと解き放ち、公私共に「終生のパートナー」となった女がいる。

ジワリと胸の奥から湧き出てくるような幸福感に、思わずギュッと香を抱きしめる。

おずおずと背中にまわされた香の腕が、心地いい。

ーもしかして、夢だったりして・・・?

あまりに幸せで、これが現実なのか自信がなくなってきてしまった。



「香・・・あの時のお誘いは、まだ有効?」

香の耳元で、そっと囁く。・・・夢なら、ここで終わるはずだ。

「・・・あの時って・・・?」

香は、何の事だかわからない。と言った感じで、きょとんとした顔をして、パチパチと瞬きをしている。

・・・やれやれ、このお嬢さんは・・・

香の額に唇を寄せ、意地悪くニヤリと笑う。

「そりゃぁ、2週間前のカオリンからの、あつ~いお誘いのことだよん♡」

ボボボッと、音をたてて真っ赤になる香。・・・可愛いすぎる。

「んなっ・・・なななに言ってんのよっっ!!」

慌てふためき、俺の腕から逃げだそうとする香をがっちり押さえ込み、頬にキスをひとつ落とせば、石像カオリンの出来上がり♪

「・・・で?まだ、有効?」

意地の悪い質問を繰り返す俺を、真っ赤な顔と潤んだ瞳で、キッと睨みつける香。

「~~っ/// 何バカな事言ってんのよ!!あんたが断ったんじゃないのよっ!!今更、なによっ!!どうせあたしは、あんたが唯一もっこりしない男女ですからねっっ!!!」

一気にまくしたてる香は、いつもの香で。なんだかちょっとホッとして、肩の力が程良く抜けた。



「・・・じゃあ、俺がお前にもっこりするの、ものすご~く我慢してたって言ったら、あの時のお誘い、まだ有効って事でOK?」

意地の悪い笑みを浮かべながら香の顔を覗き込むと、大きく見開かれた瞳には、今にも溢れんばかりの涙。

「・・・うそ・・・。」

即答かい・・・(泣)

「いや、マジだから。本当に本当に、もう限界。カオリンが欲しくてしょうがないの。・・・ていうか、もう、お前しかいらない。」

じっと俺の顔をみていた香が、ゆっくりと瞬きをする。ポロリとこぼれ落ちる涙に、思わず唇を寄せた。

「・・・ほんと・・・?」

「本当。槇ちゃんに誓ってもいいぜ?」

暫しの沈黙。

「・・・ほんとなら、いい・・・よ・・・。有効にしてあげる///」

そっと俺の胸にすり寄るように身を寄せ、小さな声で答えてくれた香が、たまらなく可愛くて、愛おしくて。もう、一時も離したくなくて。

「・・・やっぱ、海のみえるホテルがいい?それとも、アパートがいい?・・・あ、ラブホって手もあるけど?」

「・・・ばっ///・・・そ、そんな事、あたしに聞かないでよっ!!」

熟れ頃、食べ頃のお嬢さんが、更に赤くなって叫んでいる。

クククッと笑うと、姫の気が変わらぬ内に・・・と、ヒョイと抱き上げ歩き出す。

「ちょっ、ちょっと!りょお!!降ろしてよっ!」

「やだね。・・・さて、帰りますか。・・・やっぱ、俺たちには、あのアパートが一番お似合いだよな?・・・それに、アパートなら、じ~っくりたぁ~ぷり可愛がってあげる時間あるしぃ~♡なんたって、僕ちゃん、新宿の種馬だし♪」

そう言った途端、腕の中の香が、若干青くなったのは気のせいではないだろう。

喚く香をキスで黙らせ、俺達を乗せたクーパーは、一路アパートへと向かったのだった・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おまけ、です。ハイ。甘々、イチャラブを書くつもりが、何故か違う路線へ行ってしまいました・・・。すみませんm(_ _)m

やっぱりイチャラブな2人は、2人の原点でもある、あのアパートにあるのでは?という思いがあったので、その隙間を埋める形のお話を、今回書いてみました。

なので、もうひとつお話を書くつもりでおります。

カオリン、「新宿の種馬」の洗礼を頑張って受けてくださいな~。

【2013/10/07 22:55】 | How much is that time?
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Barを出た香を追って、街中を走る。

ーどこだ?どこにいる?ー

あの格好だ。そう遠くに行っていないはず・・・。

逸る気持ちを押さえて、一度立ち止まると・・・いた。3つ先の路地裏へと続く道へと入って行ったのを確認し、走り出した。


狭い路地裏で、逃げる彼女の腕をやっとの思いで捕まえる。

「放してっ!!」

「香っ!話しを聞いてくれ!」

「あたしは香じゃない!!放してっ!」

俺から逃げようと、必死で身を捩り、腕を振り解こうとする彼女ともみ合いになる。

もみ合ううちに彼女のバッグが手から落ち、バサッと中身が出てしまった。


「あっ・・・」


お互い一瞬動きを止め、バラバラになった中身をみつめる。そして、散乱した持ち物の中に、見つけてしまった。彼女が「香」だという証拠の品を。

化粧ポーチなどに紛れてにあったものーコルトローマンー。

ふぅっと小さく息を吐くと、しゃがんで一つずつ拾い、バッグの中へと入れていく。最後に、愛銃を拾い上げ、彼女と向き合う。

俯いたまま動かない彼女。

「少し、歩かないか・・・?」

俺は銃を腰にさすと、動かない彼女へと声をかけた。俯いたまま、小さく頷いた彼女の腕を取ると、俺はあの場所へと向かった・・・。



あの時よりも人通りはまばらで、数組のカップルが身を寄せ合っている程度だ。

あの時と変わらぬ場所。そこに着くと、俺は意を決して彼女と向き合う。

「香」

俯いたままの彼女の肩がピクリと跳ねる。もう、否定の言葉はなかった。

「香、聞いてくれ。2週間前のことだが・・・」

言い掛けた俺の言葉の続きを封じるかの様に、少し冷えた香の手が、慌てるように俺の口を塞いだ。

「いい。言わなくて、いいから。・・・ごめん。ごめんなさい。」

ーなんで、お前が謝る必要があるんだ?悪いのは、狡いのは、全部俺なのにー

震える手で、必死に俺の口を塞いでいる香の姿に、胸が締め付けられる。

両手でそっと彼女の手を掴むと、自分の口から手を離し、そのまま抱き寄せた。

「りょっ・・・」

腕の中で俺の名を呼ぶ香が愛おしくて、思わずギュッと抱きしめた。そして、そのまま、真実を口にしていく。

「2週間前、確かに俺はオンナと一晩一緒だった。だが、彼女は俺の昔馴染みの情報屋で、あと僅かな命だったんだ。その彼女からの依頼が、一晩一緒に添い寝して欲しいって依頼だったんだ。・・・迷ったさ。だが、・・・彼女の最期の依頼だったから受けたんだ。・・・信じてもらえないかもしれないが、彼女とは男と女の関係にはなってない。・・・黙っていて、すまなかった。」

「・・・え・・・?」

驚いて俺を見上げた香の瞳は、涙で濡れていた。

「俺は、お前に甘えてたんだな・・・おまえなら、何も言わなくても分かってくれてるって、思ってたんだ。・・・でも、あれから何もない上に、俺が朝帰りしたんじゃ、誰だって不安になるよな。すまない。」

ポロポロと香の頬を涙が伝っていくのを見て、たまらなくなって、そっと指で拭った。

「・・・じゃ、じゃぁ、どうして・・・?」

ーどうして、自分の告白に応えてくれなかったの?-

香の真っ直ぐな視線を感じて、照れくさくなった俺は、ふいと視線を外した。

「・・・その、なんだ。俺もあの時酔っぱらってたし・・・まさかお前から、あんな大胆なお誘いがあるなんて思ってなかったから、頭の中が真っ白になっちまって、なんて言っていいのかわかんなかったんだよ!悪いか!?」

最後のほうは、半ばヤケっぱちになって叫んでいた俺。あぁ~かっこわりぃ・・・

どうにも耐え難いむず痒さを感じて、頭をボリボリとかく。

腕の中の香は、きょとんとした顔をしたかと思うと、くすくすと笑いだした。

「なっ・・・なんだよっっ」

「だって・・・撩が、そんな風に思ってたなんて全然知らなかったから、なんだか可笑しくて・・・。だって撩なら、女の人にあれくらいのこと言われたこと沢山あるでしょ?」

上目遣いで俺を見上げる香。思わず、ため息が出る。

「・・・そりゃぁ、言われたことはあるさ。だけどな、自分が惚れた女から言われたのは、お前が初めなんだよ。だから、どうしたらいいのかわかんなかったんだよ。」

ボソッと呟く俺。

百戦錬磨の俺も、香には完全降伏、白旗をあげるしかない。何せ、今までの経験が何の役にも立たないのだから。



俺は腕を緩めると、そっと香を離した。そして、腰にさしてあった銃ーコルトローマンーを、香へと差し出す。

「香。お前を愛してる。こんな俺だが、お前がパートナーとして・・・俺にとっての終生のパートナーとして一緒にいてくれる気があるなら、これを受け取って欲しい。・・・もし、受け取ってくれるなら、もう二度と、お前を泣かせたりしない。約束する。」

俺なりの、香へのプロポーズ。もし、この手を取ってくれるなら、もう二度と離さない。

それが、どれほどの時間だったのかわからないが、香からの返事を聞くまでの時間は、俺にとってとても長く感じた。

おずおずと差し出された香の手は、俺が差し出したコルトローマンの上に置かれていた。

「・・・いいの・・・?あたしで・・・?撩は、後悔、しない?」

自信なさげな香の声と表情に、チクリと胸が痛む。

「お前こそ、俺でいいのか?言っとくが、これを受け取ったら最後、二度と離してやらねぇからな?」

ふるりと香の頭が横に振られた。

「撩が・・・撩じゃなきゃ、いや。撩がいい」

俺の手からローマンが離れて、香の手の中へと収まるのを、胸が苦しくなるほどの思いで見つめた。

ギュッと香を抱きしめる。

「もう、これでお前は俺から離れられねぇからな?覚悟しろよ?」

「あたしの方が、離さないわよ?」

お互い顔を見合わせると、くすりと笑う。そして瞳を閉じると、どちらからともなく唇を重ねたのだった・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後はやっぱりハッピーエンドでしょう!!最後に撩ちゃん、頑張りました!

おつきあい下さいました皆様。ありがとうございました。・・・ちなみに、このあとの2人はどうなったんでしょうか?!私的には、と~っても興味があるので、時間ができたら、番外編書いてみたいなぁ~と思っております。

【2013/10/04 23:00】 | How much is that time?
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「・・・人違いよ・・・。あたしは『リカ』よ。・・・それに、あなたとは今日初めて会ったのよ・・・?」

今にも涙がこぼれそうなほど潤んだ瞳で全面否定をする香。

「かお・・・」

言いかけた言葉を遮るように、今度は彼女が話し出した。

「私はあなたが思ってる様な女じゃないのよ。・・・今日だって、一晩相手をしてくれる男(ひと)を探してあの店に行ったのよ!?」

そう言って、バッグの中から彼女が取り出してカウンターに叩きつけた物・・・それは、それなりに厚みのある封筒だった。・・・中身は見なくても分かる。


ポロポロと涙が彼女の頬を伝っていく。

「・・・わかったでしょう・・・?あたしは、あなたの思い出の人でも、知り合いでもなんでもないのよ。」

封筒を握りしめる手が、震えていた。

「・・・お金で、男を買おうとするようなオンナなのよ・・・あたしは。」

消え入るような声で呟かれた言葉。



・・・ここまで、追いつめていただなんて・・・


目の前の彼女にかけるべき言葉が見つからない。

今まで、自分の揺れ動く気持ちのままに、彼女に恋愛感情があるような台詞を告げ、期待させる様な素振りを何度も見せてきた。・・・だが、直ぐに思い直す自分がいた。

ーこんな俺の側に居るべきオンナじゃあない。陽のあたる場所に帰るべきオンナだー

期待させて、裏切って。そうやって、彼女を何度となく傷つけてきた。

だが、人生のターニングポイントともいうべき海坊主の結婚式の時に、俺は決心したのだ。・・・香を愛して、守り抜いて行こうと。共に生きて行こうと。

「愛してる」と彼女に告げた言葉に、嘘偽りはなかった。でも、それ以降、俺は明確な態度や言葉で彼女に自分の想いを伝えていなかった。

6年という歳月を積み重ねてきたという身勝手な安心感が、俺の中にあった。

ー香なら、言わなくても分かってくれるー

俺の心の中に、そんな甘えがあったのだ。

そんな状態で、俺が朝帰り・・・他のオンナと寝てきたなんてことがわかったら、不安にもなるだろう。

また、期待を裏切られたのか・・・と。

その上、勇気を出して告白しても、返ってくる言葉や態度があれでは・・・。余りにも酷すぎる。

自分の身に置き換えてみたら、何と言ったらいいのかわからない程、酷い話しである。


ふと、ミックの言った言葉が頭を過ぎった。

ー香は、自分を抱いてくれる男を買うためにバイトをしてるー

息をするのも苦しくなるほど、ギリギリと胸が締め付けられる。

香が他の男に抱かれるなんて・・・ましてや、金で買った男と、愛情も何もない行為をするだなんて、考えただけでも気が狂いそうだ。

信じてもらえるかどうかは分からないが、あの夜、有紗との間には何もなかったのだという事、香だけを愛しているという事を、今伝えなければ、永遠に香を失ってしまう。そう、確信した。



我に返ると、香は、逡巡している俺から逃れるように、バッグを掴むとスツールから立ち上がっていた。

カウンターには一万円札が置かれている。

「さようなら」

そう言って、スルリと俺の腕をすり抜けてBarをでて行った香を、俺は追った。

もう、二度と傷つけない。そう、心に誓って・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
撩ちゃん、今回ばかりは、そう簡単にカオリンは許してくれませんよ~。頑張って、挽回してくださいね~。

【2013/10/02 17:00】 | How much is that time?
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目的地に近い所の駐車場に車を止める。

「着いたよ。・・・ここからは、目を閉じて・・・。俺に任せてくれないかい?」

そう言って彼女の顔を見ると、不安げな表情を浮かべていた。

・・・それもそうだ。目をあけたら、ホテルだった。・・・なんてオチがありそうだもんな・・・俺の場合。

「大丈夫。変な所には連れて行かないから。約束するよ♪」

一瞬、瞳をさまよわせた彼女だが、静かにその瞳を閉じてくれた。

助手席側に回るとドアを開け、そっと彼女の手を取りエスコートしていく。控えめに俺の腕に絡ませた彼女の腕が、微かに震えているのがわかる。

目的地まで、あと少し。まるで、ガキに様にドキドキしている自分がいて、苦笑いする。


「着いたよ。」

そこは、一軒のBarーサンライズー。

彼女の瞼が開くのをワクワクした思いでみつめる。

一瞬、彼女の目が見開かれた。

「・・・ここって・・・」

驚いた表情の彼女の腕を取り、Barの扉を開けると中へと入り、以前座ったのと同じ位置のスツールへと彼女を座らせる。

落ち着かない彼女の姿を微笑ましく思いながら、バーテンに耳打ちしてカクテルをオーダーする。


バーテンが彼女の前へと差し出したのは「PURE LOVE」という名の甘酸っぱいカクテル。

らしくないかとも思ったが、これから嘘偽りのない「デート」なのだから、こんな演出も悪くないだろう?


緊張した面もちの彼女の顔を見ながらお互いのグラスを合わせる。

カクテルに口を付けた彼女から、今日初めて笑みが零れた。

「・・・美味しい・・・」

その姿に、胸がキュウッとなるのを感じる。・・・可愛いな・・・。

グラスに添えられた白くたおやかな指。カクテルで濡れた魅惑的な唇。はにかむような笑顔。それは、いつもの「香」とはかけ離れていて・・・。

その姿に見入ってしまっていたのだろう、視線を感じた彼女が困った様な瞳で俺を見ている。

「・・・あ・・・。あの・・・あたし・・・」

言いかけた言葉を遮るように、彼女の唇にそっと人差し指を当てる。

びっくりした顔で俺を見つめる彼女。その彼女の右手に、俺はそっと手を重ねると静かに話し出した・・・。



「・・・昔、ここで知らない男に騙されそうになっているお嬢様を助けた事があってね・・・。まぁ、色々あって、彼女とデートする事になったんだ。・・・奔放で、素直で、可愛らしい女の子だった・・・。ずっと、このまま・・・って思ったよ。でも、彼女は、シンデレラだったんだ・・・・。12時の汽笛の音と共に、現実の世界へ帰っていったよ・・・。」

あの時、何度「香」と呼びそうになったことか・・・。俺と出会わなければ、好きな男とこんなふうにデートする事だって出来ただろうに・・・。そんな苦い思いを抱えながらも、「お嬢様」としての偽りの彼女としたデートは、心躍る時間だったことは確かだった。

懐かしむ様な口調で話し始めた俺を、彼女が大きな瞳を更に大きくして見つめていた。

・・・そりゃぁそうだろう。あの時の香は、自分の正体が俺にバレてないと思っているのだから・・・。そう思うと、少し可笑しくなったが、ここで笑う訳にはいかなかったため、ぐっと我慢して話を続けた。

「・・・結局、彼女とはそれっきりだった・・・。そのほうが、お互いの為だと思ってたよ。・・・こんな俺とは、もう会わないほうがいい・・・とね。でも、また今日会えた。・・・リカ、君があの時の「お嬢様」だろう・・・?」

重ねた手がすり抜けようとするのを押さえて話しを続ける。彼女・・・リカの視線は俺から反らされていた。強ばる表情。

「・・・もう、やめにしよう・・。リカ・・・・いや、香。」

驚いた表情(かお)で俺を見つめる香の瞳からは、今にも涙が溢れそうになっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
撩ちゃん、シンデレラがカオリンだったって事を知ってた事、バラしちゃいました・・・。さぁ、このあと撩はカオリンとどう向き合うのでしょうか?

撩が話す真実を、カオリンは受け止められるのでしょうか・・・?

【2013/09/30 17:00】 | How much is that time?
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