CH2次創作サイト
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緊急避難と言われ、連れてこられたホテルの一室。急な展開について行けず、最初はパニックになっていたあたしだったが、撩の一言で頭が一気に冷えた。


ー「せっかく部屋取ってもらったのに、そのまま帰るってのもどうかと思うぞ?」ー


抱き上げられた時に撩の服から嗅ぎ取ったのは、冴子さん愛用の香水の匂い。

ふと、バルコニーの前で抱き合い、口づけを交わす2人の姿を思い出してしまった。


撩がこの部屋に一緒に来たかったのは、冴子さんなんじゃないだろうか?


そう思ったら、胸が締め付けられたように痛かった。

どす黒い何かが、自分を再び支配していく。

ー「リョウと冴子はそんな関係じゃないよ」ー

そうミックは言っていたが、信じられなかった。

あのとき、撩が選んだのは、あたしではなく、冴子さんなのだから。



自分ではどうすることも出来ないほどの、ドロドロとした感情にとらわれていたあたしを、撩が急に抱きしめてきた。

必死で抗えば抗うほど強くなる腕の力。

もがけばもがくほどに、強くなる香水の匂いに、あたしは堪らなくなって呟いた。


ーー「・・・あたしは冴子さんじゃない。」ーーー


その言葉に反応したかのように、撩の腕があたしを解放してくれた。

こんな惨めな顔を見られたくなくて、俯いたまま、そっと撩から離れようとした時だった。

再び撩があたしを抱きしめてきたのだ。


*********************
再び香を抱きしめる。

俺を拒否するかのように、硬く強ばっている身体を、今度はそっと、優しく。

顔を見られたくなくて、自分の胸に香の顔を押しつける様に抱き寄せる。

「・・・香・・・。」

覚悟を決めて、想いを伝えようとしたが、気の利いた言葉が見つからない。だが、今は言葉にする事が大事と感じたおれは、言葉を選びながら話し始めた。


「・・・おまえは冴子じゃねぇよ・・・。おまえは、俺のパートナーだろ・・・?」

腕の中の香が、小さく頭を横に振る。

それを押さえ込む様に、頭にまわしている手に少し力を込める。

「・・・俺は、おまえと冴子から槇ちゃんを奪った。・・・槇村の遺言通り、俺はおまえが独り立ち出来るまでの間の保護者になろうと決めた。・・・だが、俺はおまえの保護者になれなかった・・・。」

ふっと一度息を吐く。

「・・・いつからだろうな・・・。ガキにしか見えなかったおまえを、本気で手放したくないって思っちまったんだよ・・・。・・・今まで、色んな奴とパートナーを組んできたが、おまえ以上のやつ、居ねぇんだよ・・・。」

ジワリと俺の胸元が濡れてきたのが分かった。

腕の中の香は、じっとしている。

「・・・冴子とは、何もねぇよ。俺じゃあ槇村の代わりになんぞならんが、それでも、俺と仕事をすることで、あいつは俺の後ろに槇村の影を見てるんだろうよ。・・・俺には、それくらいのことしか、あいつにしてやれねぇんだよ・・・。」

今までじっと、俺の話に耳を傾けていてくれた香が、ふいに顔を上げた。

何かを探るような瞳で、じっと俺を見つめてくる。

こっぱずかしい思いがこみ上げてくるが、視線を逸らさずに真っ直ぐに香を見つめていると、香が呟いた。

「・・・撩が思ってるほど、あたしは出来た人間じゃない・・。・・・苦しいの。撩があたしに隠れて冴子さんの依頼を受けるのも、嫌なの。・・・分かってる。分かってるけど、自分が自分じゃなくなっちゃうんじゃないかって思うくらい、冴子さんに嫉妬してるのよ・・・。」

香の瞳からは、堪えきれなかった涙が次々とこぼれ落ちている。それを指で拭いながら、苦いものを感じていた。

真っ直ぐだったコイツに、こんな想いを抱かせたのは自分だ。嫉妬に狂い、飲み込まれそうな程に膨れ上がった思いを受け止めるのは、今しかない。


「・・・おまえがミックと並んで歩いてんの見て、俺が何も感じてないと思ってんのか?・・・俺は、ミックをパイソンでぶち抜いてやりたいくらいだったんだぜ・・・?」

見開かれた瞳。

「・・・だって、りょ、りょう、冴子さんと、キスしてたじゃない・・・」

「・・・ばぁか、フリだけだ・・・。」

「・・・フリだけ・・・?」

俺の表情を伺うかの様な香の視線を感じる。・・・まぁ、今までの態度を考えれば仕方ないか。

「さっきも言った様に、冴子の本命は今でも槇ちゃんだ。いくら俺でも親友の恋人にそんな事できねぇよ。」

ふいに香が俯く。

「・・・ごめん。あ、あたし撩と冴子さんのこと、疑って・・・。ダメだね。こんなんじゃパートナー失格だね・・・。ほんとにごめ・・・」

香の口からでてくる必要の無い謝罪を止めようと、指で香の唇に触れる。

びっくりした表情(かお)をした香に、そっとささやく。

「・・・先に約束していたおまえとの仕事を反故にしたのは俺。おまえは何にも悪くねぇだろ。謝るのは俺の方だ。・・・すまなかった。」

そっと、唇に触れていた指を頬へと移動させ、香の顔を上向かせる。視線が絡まる。

「俺のパートナーは、おまえが最後だ。その時々で、一時的に別の奴と仕事をするかもしれないが、本当のパートナーは、香、おまえだけだ。」

「りょっ・・・」

俺の本心が詰まった言葉が届いたのか、香の瞳が潤んでくる。

「うれしぃ・・・。ありがと・・・」

嬉しさで紅潮した頬、潤んだ瞳で見上げられちゃあ、流石の俺もお手上げだ。

少々意地の悪い笑みで俺らしい愛の言葉を囁く。

「・・・香。俺としては『公私ともにパートナー』になりたいんだけど、どう?」

「・・・えっ・・・///」

鈍感なシンデレラでも俺の真意は伝わったようで、真っ赤になって慌てている。そんな香に、ポケットに突っ込んで置いたケースから指輪を取り出し、スルリと左の薬指にはめてやる。

「・・・もちろん、答えは『YES』だよな?」

一瞬驚いた香だったが、自分の指にはめられた指輪をみて、こっくりと頷く。

少し背伸びした香の腕が俺の首にまわされた。

「・・・あんたの最後のパートナーはあたしよ・・・。」

惚れたオンナからの最高の告白に、頬を緩ませた俺。

この後、俺たちが『本当のパートナー』になるべく、甘い時間を過ごしたのは言うまでもないってか・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お待たせして申し訳ありません。やっとたどり着けました。最後は撩目線で書いてみました。やっぱり、最後はラブな2人でいて欲しいのです。
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【2014/11/23 23:00】 | リクエスト
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静まりかえった廊下に取り残された俺たち。

香はまだ片方のヒールを手に持ったままで、唇を噛みしめて俯いている。

そんな香の姿をみているうちに、シンデレラの話しを思い出した。

舞踏会から慌てて帰る途中、ガラスの靴を片方落としてしまったシンデレラ。一方、目の前のお嬢さんは、勇ましくもその靴を武器に悪党一人をやっつけてしまったのだ。


「・・・まぁ、こっちのシンデレラのほうが、俺にはお似合いか・・・」


ふと呟いた一言で、香が顔を上げた。

「・・・え・・・?」

視線が絡み合う。

ドレスアップした妖艶な姿とはかけ離れた、幼子のような表情(かお)をした香をみて、何だか肩の力が抜けたのがわかった。


踵を返し、ミックがドアの前に置いていった靴を拾い上げると、香の前に跪いて靴を差し出す。

「シンデレラ、靴をどうぞ。」

「・・・ぁ・・・」

慣れないシチュエーションのせいのか、真っ赤になった香の顔。

思わず、プッと吹き出す。

「ほれ、そっちの靴も寄越せよ。いつまで裸足でいる気だ?」

いつもの俺の口調に、香も肩の力が抜けたのか、おずおずと靴を差し出してきた。

それを受け取り、香の前に並べてやると、香はドレスの裾をつまみ上げると靴を履く。

立ち上がって香の前に立つと、さっきミックが香に胸元に差し込んだカードが目に止まったので、無言でそれを引き抜いた。

「なっ・・・なにすんのよっっ!!」

触れてはいないとはいえ、急に胸元に手をやられた香が真っ赤になって抗議の声をあげる。

「なに騒いでんだよ。さっきミックからもらったの取っただけだろ?」

そう言ってピラリとそのカードを香に見せる。それはこのホテルのスイートルームのカードキーだった。

「え?なにそれ?」

事態が飲み込めない香に苦笑し、説明してやろうと口を開きかけたが、警察官らしき男女の声が聞こえて来たため、逃げるのが先か。と判断する。

「香、説明は後だ。冴子たちが来るから、取りあえず逃げるぞ。」

そう言うと、香をお姫様だっこしてその場を後にした。


着いた先は、もちろんさっき香にみせたカードキーの部屋だ。ソファ等がある部屋に入った所で香を下ろす。

「なっ・・・なに!?なんでこんな所に逃げてんのよっ!?」

俺に抱き上げられてから一言も発しなかった香が、ようやく我に返ったのか騒ぎ出した。

「こういうときには、むやみに外に出ない方が安全なんだよ。それに、せっかく部屋取ってもらったのに、そのまま帰るってのもどうかと思うぞ?」

途端、ピタリと香の動きが止まった。不審に思い、香に近づいて肩に手をかけようとしたが、その手は思い切り振り払われた。

「・・・か、かおり・・・?」

「・・・ないでっ!・・・触んないでっ!!」

驚いて香をみると、その瞳には今にもこぼれ落ちそうなほどの涙があった。

思わず息を飲む。冴子と自分のどちらかを選べと迫ってきた時の香の顔が、目の前にあったのだ。


考えるより先に、身体が動いていた。無意識のうちに香の身体を抱きしめていた俺。もう、あの時と同じ過ちは繰り返したくなかった。

「やっ・・・やだっ!!離してっ!!離してよっ!」

抗議の声をあげ、身を捩る香を逃さない様にさらに深く抱きしめる。言葉にしなければ伝わらないとわかってはいたが、今はただ、抱きしめていたかったのだ。


どのくらいそうしていたのだろうか。香が抗う事を止め、ポツリと呟いた。


「・・・あたしは、冴子さんじゃない。」


その言葉に、思わず腕を緩めてしまった俺。

俯き、俺の胸を押し返すように離れて行こうとする香。

その姿を、言葉を聞いた俺は、今度こそ香と向き合う覚悟を決めたのだった・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヘタレ撩、挽回出きるのか!?(してもらわないと困るんですが・・・)


【2014/07/14 00:15】 | リクエスト
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冴子を会場に残し、密会場所となるホテルの一室へと足を向ける。

先ほどのホステスに仕掛けた盗聴器から漏れ聞こえてくるのは、吐き気がするほどの内容ばかりだった。

ー人身売買、麻薬、賄賂、製薬会社を巻き込んだ汚職ー

「・・・ったく、好き放題やってくれちゃって・・・。ま、いい夢見られんのも今の内ってか・・・?」

そう呟きながら、懐にある相棒を取り出しドアノブを打ち抜く。

サイレンサー付きのため、ポシュッという軽い音を立てると、第一関門のドアを突破する。

物陰に身を潜め、部屋の様子を伺えば、ドアの前には番犬ならぬ番人の姿が2名。

・・・めんどくせぇなぁ・・・

ここで騒がれると後が面倒だ。

予備の弾をひとつ廊下に転がす。キンッという軽くて小さな音がして、奴らはその音に気が付いた。

『おいっ、今の音は何だ?お前見てこい』

『わかった』

そう言うと、一人が持ち場を離れた。その瞬間、ドアの前にいる一人を黙らせる。続いてもう一人も。2人まとめて縛り上げると、だだっ広いバスルームへと放り込んだ。

廊下の先にはドアが2つ。

番犬がいたほうからは、密談の声。そしてもうひとつの部屋からは、お楽しみ真っ最中の声が漏れ聞こえていた。


「・・・取りあえず、本星からいきますか・・・」


パイソン片手にドアを蹴破ると、慌てふためく狸爺たちと、秘書の姿があった。

その中の一人が書類に手を伸ばそうとしているのを見つけ、そいつの足下に一発お見舞いしてやった。

「諦めな。すぅ~ぐに美人の警察官がきて、お前等を天国に連れてってくれるからな♪」

ニヤリと笑ってそう告げると、本星の恩田代議士が崩れるように膝をついたのだった。


ホッと一息ついたところで、廊下から女の悲鳴が聞こえて来たので、急いで廊下に出ると、別室にいたと思われる男が半裸の女を盾に逃げようとしていた。

「待てっ!!」

後ろから声をかけると、男は女の首にナイフを当てながらずり下がって行く。

「来るなっ!!来たらこいつを殺すぞ!!」

ナイフを首に当てられているため、女の子は極度のパニックに陥って暴れている。

「・・・ったく・・・。めんどくせぇなぁ・・・」

男の隙をみて一発お見舞いしてやろううと思うのだが、動きが読めないため手が出せずにいた。

ジリジリとドアに近づく男。泣きわめく女。

やっかいな事になった・・・。と、思った矢先、ドアの向こうから男の頭めがけて何かが飛んできた。

「がっっ・・・」

抜群のコントロールで投げられたソレは、見事に男を気絶させた。

「・・・んだぁ・・・?」

男のそばに転がっていたのは、どう見てもハイヒールで・・・。

ドアの先に視線をやれば、そこには片方のヒールを持った香と、苦笑いをしているミックの姿があったのだった。


「よぉ。片づいたみたいだな・・・?」

ミックが俺の肩を叩いてニヤリと笑う。

「・・・お陰で良い記事が書けそうだ。・・・サエコへの引継は俺がやっとくから、お前はさっさとカオリを迎えに行けよ。」

悪友にトンッと肩を押され、よろめく様に香の前に歩み寄る。


「・・・・・。」

「・・・・・。」


お互いにないも言えない。香は俯いたまま。俺はそっぽを向いたまま。

そんな俺たちを見て、業を煮やしたのかミックがすれ違いざま香の胸元にカードを滑り込ませると何かを囁いた。

「っっ!!ミック!!てめぇ!!」

パイソンをやつに向けようとした時、ミックが振り向き様に言った。

「それは、今回の香への報酬のオマケだ。どうするかは2人で考えな!!・・・カオリ、意地を張るのも大概にね・・・?」

そう言うと、やつは手をヒラヒラと振りながら部屋の中へと消えて行った・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
すれ違った2人が、向き合う時がきました。2人はどんな答えを出すのでしょうか・・・?

【2014/07/06 23:00】 | リクエスト
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お互いの存在に気が付きながらも、決して交わることのない視線。

冴子と組んだ仕事の中で、今まで一番やりにくい仕事だな・・・。

思わず零れそうになるため息をぐっと飲み込む。



程なくしてタカサキカンパニーの秘書が、恩田代議士に付いていたホステスを伴ってバルコニーへと向かうのが見えた。

「・・・冴子。」

動き出したターゲットを追うように、俺たちも寄り添ってバルコニーへと向かう。

途中、タカサキカンパニーの社長夫人と談笑する香達の横をすり抜ける。

ミックの半歩後ろで、控えめな笑みを浮かべて相づちを打つ香の姿を見て、胸がキリキリと痛んだ。


・・・お前には、こんな笑い方似合わねぇんだよ・・・


ドレスを試着していた時の香の眩しいほどの笑顔が忘れられない。と同時に、イヤリングを投げつけてきた泣き顔も思い出す。

結局、いつも香にばかり我慢をさせて、泣かせているのは俺か・・・。

苦い思いを胸に、仕事モードへと強制的に頭を切り替える。


『・・・今度の品は、明日お渡し出来るそうです・・』


『・・・わかった。では、30分後に予定通りの部屋で・・・』

小声で話す2人に不振がられないよう、俺は冴子の腰に手をまわし、冴子は俺の首に腕を絡ませるようにして、話しが聞こえるぎりぎりの距離まで近づく。端から見たら、恋人同士が情熱的なキスをしている様にみえるはずだ。

一歩間違えば本当に唇が触れてしまいそうな程近い距離にいる俺たち。括れた腰に手をまわしながら、ふっと苦笑いが零れる。

・・・相手がアイツだったら、こんな事出来ねぇな・・・

この腕に居たのが香だったなら、きっとこんな濡れ場なんて演じられないだろう。相手が冴子だから出来る芸当なのだ。

それに、香が相手だったなら、こんな寸止めなんて出来ない・・・きっと、貪るような本物のキスをしてしまうだろう。


話しが済んだのか、2人がバラバラにバルコニーから出てきた。

お互い、何事も無かったかのようにスッと身を引く。

「撩、証拠はバッチリよ?」

盗聴器になっているイヤリングに手をやりながら冴子がほほえむ。

「・・・じゃ、30分後に例の部屋に行ってアイツ等をとっ捕まえれば任務完了ってか?」

「えぇ。ただ、ガードが厳しいらしいから、気をつけてね?」

「だぁれにモノ言ってんだよ?それより、ちゃぁんともっこり3発付けとけよ~?」

「・・・撩、残念だけど今回は現物支給でお願いね?・・・だって、香さんをこれ以上泣かせたくないもの」

ぐっと言葉に詰まる。思わず、右のポケットに入っている香へのプレゼントに手をやってしまった俺。

「・・・んじゃ、チャッチャと終わりにして迎えに行きますか・・・・」

今回ばかりは逃げも隠れもしない。素直になろうと決めていたのだ。

「ふふふっ・・・。あんなに綺麗な香さんをミックに盗られて妬いてるんでしょ?・・・早く迎えに行ってあげて?きっと彼女も待ってるわ。」

「だ、誰が妬いてるって!?ばぁか言うなよ!それに、あいつはあいつで仕事の便宜上ミックと居るだけであってだな・・・っ」

言い訳を並べる俺の口を冴子が手で塞ぐ。

「そこまで。・・・今回の件は、私が横から割り込んで2人の仲を拗れさせてしまったみたいだから、ちゃんとお詫びさせて?・・・それとは別に、あなたもきちんと自分の気持ちに素直になりなさい。・・・女だっていつまでも待てる訳じゃないのよ?」

少し寂しげに微笑む冴子の姿に、何も言えなくなってしまった俺。

「・・・そろそろ時間よ・・・。」

その言葉にはっとして、冴子と共にホテルの部屋へと向かったのだった・・・・。


*******************************

ミックと一緒に会場に入る。女性の扱いに慣れている彼のエスコートのお陰ですんなりと場にとけ込む事が出来た。

「カオリ。大丈夫かい?何か飲み物貰おうか?」

「あ・・・。じゃあシャンパンを・・・」

ミックの甘いマスクと見事なエスコートに、周りの視線が痛いほどだ。

飲み物を片手に、少しずつターゲットに近づいていく。

「カオリ、いつものカオリもチャーミングだけど、今日のカオリはまるでシンデレラのようだね。会場中の男の視線を独り占めしてしまうほど魅力的なカオリのお相手が出来るなんて、まるで夢みたいだ♪」

「や、やだミックったら・・・。みんなが見てるのはあたしじゃなくてミックのほうでしょ?・・・あたしなんて・・・」

褒めてくれたミックには悪いが、みんながあたしを見るはずなんてないもの。

「・・・分かってないなぁカオリ。いいかい?誰が何と言おうと、この会場で一番綺麗なのはカオリだよ。自信持って。」

「・・・ありがとう。ミック・・・」

そんな会話をしながら、ターゲットのタカサキカンパニーである社長夫人の所までたどり着いた。もちろん、隣にはターゲットである夫のタカサキ氏も一緒だ。

「新婚なんですよ。・・・タカサキさんは結婚して何年になられるんですか?」

話し上手なミックは、婦人相手にどんどん会話を広げていき、ついにはタカサキ氏も巻き込んでしまった。

あたしはと言えば、夫人相手にただ微笑んで相づちを打つだけ。

・・・隣に居るのが撩だったら・・・

優しくしてくれるミックが居ながら、そんな事を考えたからなのだろう。神様はあたしに罰を与えたのだ。

ふと会場の奥ーーーバルコニーの手前でお互いの身体を密着させながら口づけを交わす撩と冴子さんの姿を見つけてしまったのだ。

嫉妬で心の奥がどす黒くなっていくのがわかる。思わずぎゅっと目をつぶってしまった。

「カオリ?」

あたしの異変に気が付いたのか、ミックが心配そうに声を掛けてくれた。

「あ・・・。ごめんなさい。ちょっと酔ってしまったみたい・・・。でも大丈夫」

本当に顔色が悪かったのかもしれない。夫人が気を使ってホテルの一室を休憩場所として貸してくれると言い出したのだ。

「そうしたほうがいい。お言葉に甘えて部屋をお借りしてもよろしいですか?」

ミックはそう言うと、夫人から部屋のキーを受け取ってあたしの腰を抱き寄せながら会場を後にした。

部屋に入ると、ミックは黙ってあたしをソファに座らせ水の入ったグラスを差し出してくれた。

「・・・カオリ、あれは演技だからね?撩とサエコはそういう仲じゃ無いことは、カオリにもわかるよね?」

ミックも気づいていたのだ。あの2人に。

「・・・そんなの、わからないじゃない・・・。だって、撩はあたしを選んでくれなかった・・・。冴子さんは、あたしが知らない撩を知ってるわ!撩は言わないけど、どれだけ冴子さんと組んで仕事してるか・・・・」

涙がこぼれそうになって、思わず俯いて唇を咬んだ。

「・・・カオリ。早く仕事を終わらせて撩とちゃんと向き合ってごらん?きっとカオリが思うよりも、俺たち男のほうが本命に対してはウブなんだとおもうよ?・・・こんな綺麗なカオリを撩に返すのは癪だけど、シンデレラはやっぱり王子様が迎えにきて幸せにならないとね♪」

ウインクをしてポンとあたしの手を軽く叩くミックの姿に、少しだけどす黒い何かがはがれ落ちた気がした。

「・・・わかった。まずは、ちゃんと依頼完了しないとね。・・・ミックもスクープになる記事かかないといけないし・・・。」

お互い顔を見合わせて、クスリと笑う。そして、取り引きの現場であるホテルの一室へと向かったのだった・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おおおお久しぶりですっ(汗)原稿が吹っ飛び、そこからまた書き上げるのに手間がかかりました・・・。すみません~(。>ω<。)
お話ですが、やっとこ佳境に入ってまいりました。すれ違った2人は元にもどれるのでしょうか・・・?次回、カオリンお仕事しまっすっ!!

【2014/06/03 23:12】 | リクエスト
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ざわつく会場を、ミックのエスコートでゆっくりと歩く。
時々声をかけられると、ミックの後ろに隠れるようにして軽く会釈をしてやり過ごす。


・・・・・なんでこんなことになっちゃんったんだろう・・・

本当なら今頃、隣にいるのは僚だったはずなのに・・・。

昨日、偶然聞いてしまった冴子さんの依頼。帰ってきた僚からは、何の相談もなく、時間だけが過ぎて行った。

僚があたしのことを、本当のパートナーだと思ってくれているなら、冴子さんの依頼の件も相談してくれるはず・・。

そう思っていたのに・・・。

あたしに話してくれない理由は、僚にとって冴子さんが特別な存在だから?

「女」としての嫉妬心と、パートナーとして認められていないんじゃないかという悔しさとがごっちゃになって、イヤリングを握り締めたまま、僚に自分か冴子さんか選べと言ってしまったあたし。

困った顔をした僚は、結局どちらの手も取らなかった。

あの奥多摩での出来事は、やっぱり「種族維持本能」でしかなくって、僚にとって、いつまでたってもあたしは「兄貴からの預かり物」なんだ・・・

そう思ったら、情けなくて悔しくて、感情のままに、僚にイヤリングを投げつけてしまった。

部屋に戻ってひとしきり泣いた後、冴子さんの依頼と教授からの依頼のことを考えた。きっと僚は冴子さんの依頼を受けてあげたいんだろう。でも、あたしが居たら、優しい僚はあたしと冴子さんの間で悩むことになる。だったら、あたしが単独で教授の依頼を遂行すればいいだけだ。

僚にメモを一枚残すと、部屋の窓をそっと開け、ワイヤーを垂らし降りて行く。ドレスは、なんとなく冴子さんと被りそうな気がして、おいて行くことにした。

ーあたしはここに居ないほうがいいー

そっと地面に足を下ろし、電気が点いているアパートの部屋を見上げた。

「ごめんね、僚」困らせてばかりでごめんなさい。


僚に気づかれないようアパートの敷地から出たところで、ミックに遭った。

「ハァイ、カオリ。こんな時間に散歩かい?・・・窓から出るとは、ただ事じゃあないね?・・・良かったら相談に乗るよ?」

きっと、向かいのビルからあたしが降りてくる所を見ていたのだろう。何かに縋りたかったあたしは、ミックに促されて事の顛末を、吐き出すように話してしまったのだ。

話を聞き終えたミックは暫し考え込んだ後、部屋を出て行った。どこかに電話しているようだった。

「お待たせ、カオリ。僕からカオリに依頼があるんだけど、受けてくれないかい?受けてくれたら、教授の依頼の件も一緒に片付くんだけど?」

「・・・え・・・?」

「簡単なことさ。僕はジャーナリストとして 2人の大物の悪事をスクープしたい。カオリは教授の依頼を遂行したい。目的が一緒なら、お互い協力したほうがいいだろ?・・・それに、この手のパーティーに潜入するには、カップルのほうが怪しまれないからね。幸い教授が用意してくれた「知り合いの夫婦」っていう肩書きもあることだし・・・。・・・それとも、僚と一緒じゃなきゃダメかい?」

今回限り、パートナーを組もう。という申し出だった。確かに、あたし一人では会場にもぐりこむの難しいだろう。ミックが一緒なら、心強い。

「・・・こちらこそよろしくお願いします。」

そう言ってあたしはミックが差し出した手を取ったのだった・・・。


それから、教授が持っているという別宅へ身を隠したあたし。翌日、留守番しているアシスタントのアキさんに電話して試着していた中からピンクのドレスを借りて身に纏うと、ミックと共に会場へと向かったのだった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やっと続きが書けました・・・。時間がなかったこともありますが、携帯とタブレットが同時に壊れるというアクシデントに見舞われ、更新出来ずにいました(泣)使えない間、たくさんの拍手コメントをありがとうございました。お返事できなくてすみません~~。いま、携帯からPCへお引越しさせようと奮闘しておりますので、暫しお待ちください(ぺこり)
今回は、カオリンの目線でお話を書いてみました。ミック、今回はオイシイ役どころです。












【2014/05/19 09:14】 | リクエスト
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